夫の不感症が治った相手は、私の妹だった結婚して三年になる夫の入江浩輔(いりえ こうすけ)は、不感症を患うようになった。
そこで浩輔のプライドを守るため、私は逆に自分が「冷感症」を演じているようにしていた。
そして一方で浩輔のために世界中の名医を探し、あらゆる治療法を試してきた。
でもお正月の親戚が集まる席で、浩輔は私の義理の妹の手を取り、みんなの前で宣言した。
「俺は葵(あおい)と離婚しようと思って、理由は彼女が冷たくて相手にしてくれないからだ。
これまでも柚のほうが、俺に男としての喜びを与えてくれていた」
浩輔はそう言ってすべてを私に擦り付けるつもりだったのでしょう。でも、そうすることで、彼は自分の不能をみんなの前で暴露しているだけだということには、気が付いていないようだ。
一方で小林柚(こばやし ゆず)はそんな中、浩輔の腕にすり寄りながら、私に向かって勝ち誇ったように笑ってみせた。
そこで私はスマホを取り出すと、慣れ親しんだ番号に電話をかけた。
「渉、離婚の件、もう進めてもらっていいから」